自然電力、経産省の再エネアグリおよびDERアグリ実証事業採択を受け、 蓄電池メーカー複数社と共同で小売電気事業者向け調整力等の創出へ

~需給調整市場・容量市場・発電事業者向けの調整力制御の網羅へ~

2022.06.01[プレスリリース]

自然電力株式会社(本社:福岡県福岡市、代表取締役:磯野謙、川戸健司、長谷川雅也、以下「自然電力」)は、経済産業省が実施する「令和4年度 再生可能エネルギーアグリゲーション実証事業」(以下「再エネアグリ実証事業」)および「令和4年度 分散型エネルギーリソースの更なる活用に向けた実証事業」(以下「DERアグリ実証事業」)に採択されました。

 発電事業者や小売電気事業者における事業環境の変化や各市場の整備を背景に、VPPによる調整力のニーズが高まっています。自然電力は自社開発のアグリゲート・エネルギーマネジメントシステム「Shizen Connect」を機能増強して各調整力の創出を実証します。

小売電気事業者のための調整力を蓄電池メーカーと連携し、数千台規模で創出
昨今の市場価格の高騰は小売電気事業者にとって大きな課題です。自然電力はこれまで卸市場からの電力調達コストを削減する市場価格連動制御(※1)を実証しており(※2)、本年度のDERアグリ実証事業では実際に小売電気事業者と共同で本制御などによる小売電気事業者のコスト削減効果を実証します。

本実証の制御対象は、自社開発のエッジ機器「Shizen Box」と接続する千台以上の家庭用蓄電池に加え、複数の蓄電池メーカーの遠隔制御システムとのクラウド連携を通じた、更に千台以上の家庭用蓄電池となる予定です。

図1:小売電気事業者のコスト削減に繋がる制御の実証の概要

発電事業者のための再エネアグリ制御の精度向上と経済性シミュレーション
一方、再エネの発電事業者にとっては、20224月に開始したFIP(※3)制度のもとでインバランス(※4)義務や売電価格変動リスクなどが課されます。

昨年度の再エネアグリ実証事業にて、Shizen Connectに発電計画の生成や蓄電池制御によるインバランス低減や売電収益を増加させる市場価格連動制御などの機能を開発しました。実証結果を踏まえ、202112月には「再エネアグリゲーションサービス」を開始しています(※5)。

本年度は再エネ発電所の発電予測や蓄電池制御の精度向上に加え、下記で説明する需給調整市場や容量市場向け制御まで含めたマルチパーパス(多目的)化や、各種制御による系統蓄電池や再エネ発電所併設蓄電池の経済性の算出を効率化するシミュレーション機能を開発します。

需給調整市場や容量市場向けの制御を網羅予定
また、自然電力は、これまで需給調整市場の「二次調整力①」や「一次調整力」を想定した制御を実証してきました。本年度のDERアグリ実証事業ではShizen Connectに「三次調整力②①」「二次調整力②」および容量市場向けの「発動指令電源」用制御を搭載予定です。

これによりリソースアグリゲーター(※6)の制御に求められる制御が網羅される予定です。また、これらの市場向け制御は小売電気事業者向けおよび発電事業者向けの制御とも連動できるため、蓄電池の経済性を高められると考えています。

図2:Shizen Connectの機能概要

自然電力は、自然エネルギー100%の世界を目指すため、自然エネルギー電源の開発だけでなく、自然エネルギーによる電力の供給と需要をバランスさせる仕組みが不可欠と考え、エネルギーテック事業を開始しています。今後も地域における分散型電源の普及を通じて、“自然エネルギー100%の世界”の実現を加速させてまいります。

 

1 市場価格連動制御:卸電力取引所の価格に応じて収益を最大化するようにする充放電制御
2 市場価格連動制御の実施結果についてリリース:https://www.shizenenergy.net/2022/03/14/shizen_connect_v2h/
3 FIP (Feed-in Premium)再エネ電源の電気を売電する際にプレミアム(割増金)を上乗せする制御          
4 インバランス:計画値と実績値の差異のこと。その差分に対して支払う必要があるペナルティ要素の含んだ料金を「インバランス料金」という

5 再エネアグリゲーションサービスについてのリリース:https://www.shizenenergy.net/2021/12/15/shizen_connect/
6 リソースアグリゲーター:需要家側エネルギーリソースや分散型エネルギーリソースを統合制御し、VPPやDRからエネルギーサービスを提供する事業者(アグリゲーター)のうち、需要家とVPPサービス契約を直接締結してリソース制御を行う事業者のこと 

■分散型エネルギーリソースの更なる活用に向けた実証事業の概要

コンソーシアムリーダー

株式会社エナリス(アグリゲーション・コーディネーター)

対象リソース

家庭用蓄電池(当社エッジ端末経由および蓄電池メーカーのクラウド経由)、
EV(V2H機器およびスイッチ制御によるEV普通充電器)、産業用蓄電池

実証内容

・小売電気事業者向け制御:市場価格連動制御、インバランス回避制御
・需給調整市場向け制御:二次調整力②、三次調整力①②
・容量市場向け制御:発動指令電源
・上記の制御のマルチパーパス(多目的)化

 

■再生可能エネルギーアグリゲーション実証事業の概要

コンソーシアムリーダー

株式会社エナリス

対象リソース

太陽光発電所(メガソーラー)、風力発電所、産業用蓄電池

実証内容

・発電事業者向け制御:市場価格連動制御、インバランス回避制御
・上記の制御のマルチパーパス(多目的)化
・系統蓄電池や発電所併設蓄電池の経済性を算出するロジック開発

 

Shizen Connect」について (Webサイト https://se-digital.net/connect
再エネ発電設備や蓄電池・EVEQなどのエネルギーリソースを集合的に制御するアグリゲート・エネルギーマネジメントシステムです。住宅の太陽光発電と蓄電池やEV充電器などの制御から、複数の建物を自営線で繋いだマイクログリッド、さらには数千台規模のエネルギーリソースによるVPPなどが実現できます。これまで分断されがちな個別の制御とVPP制御などをワンストップで提供できるので、エネルギーリソースをマルチパーパスで利用することで経済性を向上させられ、またベンダーフリーなのでメーカー依存なくエネルギーリソースを自由に選定できます。