「Blue Planet Report」を発刊 ― 地域と自然と共に未来を描く
~自然電力グループの地域や自然環境保護の取り組みを紹介~
このたび、自然電力グループのサステナビリティの取り組みを取りまとめた「Blue Planet Report」を初めて発刊いたしました。本レポートは、自然電力グループがこれまで取り組んできた地域・環境への実践事例と、今後の課題・展望をまとめたものです。
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大規模な再生可能エネルギー開発には、マクロの課題(地球全体の脱炭素・電力供給)とミクロの課題(地域の自然・文化・経済)が存在しています。これらを両立させることが私たちの大きな挑戦です。私たちはこの状況だからこそ、「地域と自然と共にある再エネ」を追求し、地域と自然の価値を同時に守り次世代につなぐことを目指しています。
自然電力グループは「青い地球を未来につなぐ」というパーパスを掲げ、創業以来一貫して、地域社会を再生可能エネルギーでつなぎ、新たな資本の流れを創出することで、不平等に取り組み、地域や人々の持つ力を高めることを目指してきました。
私たちは単に再生可能エネルギー発電設備を開発・建設することを目的としていません。再エネが生み出した経済的価値を独占するのではなく、地域に還元し、社会課題の解決につなげる「価値の循環」を実現することが、我々のパーパス「青い地球を未来につなぐ」の実現、持続可能な未来につながると信じています。またそのためには、地域・自然環境・経済性のバランスを保つことが不可欠だと考えています。
このレポートは、私たちがこれまでに達成した具体的な成果、そこから学んだ教訓、そして将来の課題を反映しています。「地球を守ることは単なる責任ではなく、より良い未来を築くチャンスである」。同じ志を持つ様々なステークホルダーの皆様と、今後も共に行動を続けてまいります。
このレポートが、私たちと共に未来を描くきっかけとなれば幸いです。
◆ 内容紹介 – 地域での取り組み
私たちは、発電所の収益の一部を活用して、その発電所が立地する地域の発展に寄与する取り組みや地域の課題に取り組む事業者の支援をしています。この取り組みを「1% for Community®」と呼び、単なる寄付にとどまらない多様な支援を行ってきました。
● 熊本県合志市
自然電力は2014年から、熊本県合志市の農業振興を継続的に支援しています。発電所の売電収益は、用水路などの農業インフラの整備・改善だけでなく、地域の農業活性化に向けた人材育成事業、新品種開発支援事業、新商品開発事業にもなどにも活用されています。さらに、2020年には、自然災害への対策を強化するための災害協定を市と締結しました。
● 三重県南伊勢町
太陽光発電による売電収入の1%を、登山道や河川堤防の整備、漁場の生態系や藻場の保全活動に活用いただくため毎年寄付しています。
● 長野県王滝村
2019年、自然電力と王滝村は「王滝村スキー場跡地太陽光発電所に関する協定書」を締結し、環境保全に留意した設計のもとで発電所を建設することに合意しました。村と対話を重ねる中で、土砂流出の危険性を低減させる水路を追加で設置する、景観に配慮して住宅から発電所が見えないように用地を選定する、といった工夫を施しました。さらに、2022年8月には「地域貢献事業に関する基本合意書」を締結、売電収入の約1%を20年間、王滝村の教育事業に寄付することで合意しました。王滝村は寄付金を「王滝村奨学金返済支援補助金制度」の原資として活用、村外に進学した学生が村内で就業した場合に奨学金の返済を補助しています。
◆ 内容紹介 – 自然環境への取り組み
私たちは、脱炭素にとどまらず、再生可能エネルギー発電所の総合的な環境影響を最小限に抑え、改善することの重要性を認識しています。
そのため、2024年から、環境への影響を「マイナス(悪い影響)をゼロにする」だけでなく「プラス(良い影響)にする」ことを目指して、発電所の設計や、工事、運転方法をどのように改善できるか、具体的な検討を始めました。
この目標を実現するために、私たちは国際的なルール(「TNFD(自然関連財務情報開示)」や「GBF(昆明-モントリオール地球規模生物多様性枠組)」といった世界の約束事)に沿って、企業が環境を良くしていくための具体的な手順(「ネイチャー・ポジティブへのロードマップ」という考え方)を取り入れ、これを会社の正式な目標として進めていきます。
発電所における具体的な取り組み事例
● 気候(脱炭素への取り組み)
- 二酸化炭素排出量に応じて機器の選択を最適化
- 架台用のグリーンスチールを調査
- 低炭素コンクリートの使用、またはコンクリートの代替ソリューションを調査
● 土壌(自然の力を活かした保全)
- 排水溝を木片、枝、樹皮などで覆い、水の流れを緩やかにして土壌浸食を防止
- 土壌を安定させ、土壌の回復力を高めるために、根の長い樹種を植樹
- アヒル類を引き寄せて土壌のPH値を向上
● 水(生態系と循環への配慮)
- 「 大地の再生」方式:自然の地下水の流れを尊重した土木工事の設計と実施
- 優れた林業管理の手法を学び、実践
● 生物多様性
- 在来種の野花を植えるなど、花粉媒介者の生息地の創出
- 昆虫の生息数維持のため草の養生期間を延長
- 発電所の緩衝地帯とフェンス内に在来種の樹木や低木を植える