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    │株式会社グリーンズ

非化石証書の導入で電力使用に伴うCO2の排出量実質ゼロとエネルギーの地産地消を実現
│株式会社グリーンズ

全国で98カ所(2023年12月末時点)のホテルを運営し、60年以上の歴史を持つ株式会社グリーンズ(以下、「グリーンズ」)は、2015年からCSRの推進体制について検討を開始し、2018年に「環境」「コミュニティ」「人」「サービス」を重点課題としたCSR推進委員会を発足。2018年にグリーンズグループ2030年CSR宣言「『環境にも人にも優しいホスピタリティあふれる企業』を目指します」を策定しました。

社会課題解決のための取り組みを経営方針の一部として据えながらSDGsの達成に向けて取り組む中で、2023年7月に自然電力グループが共同保有する唐津市湊風力発電所(佐賀県唐津市)由来の非化石証書を「コンフォートホテル佐賀(佐賀県佐賀市)」で導入いただきました。

CSR推進委員会の環境配慮委員会委員長として導入を推進した瓦 真由子様に、導入の経緯や導入による成果についてお話を伺いました。

導入前の課題
  • CO2削減目標の達成に向けた効果的な取り組みが必要
  • 全社をあげて取り組むための社内理解を促進したい
ソリューション
  • 地元佐賀県にある風力発電所由来のトラッキング付FIT非化石証書を導入
  • 経営陣の同席のもと脱炭素経営と非化石証書の説明会を実施
導入後の効果
  • CO2排出量約135t分をオフセットしCO2削減と地域活性化を同時に実現
  • 会社全体に必要性の理解が浸透、施策の実行までのスピードが加速

【導入の背景】できるところから脱炭素の取り組みを実施

まず初めに、貴社の脱炭素に関するこれまでのお取り組みについてお聞かせください。

グリーンズでは2018年に社内のCSR推進委員会が発足し、環境課題への対策について検討が始まりました。

私はCSR推進委員会の4つある下部委員会の中の「環境配慮委員会」で当初から委員長を務めていました。はじめにKPIとして日本政府目標と同じ「2013年度比でCO2排出量を46%削減する」という目標を設定、そしてホテル業として各店舗でできる省エネ活動から開始しました。その後省エネ機器の導入として空調制御装置やLED電球、節水器具…と、私たちでコントロールできるところから取り組んでいきました。


当時、社員の方の受け止めはどうだったのでしょうか。

社内ではeラーニングで受講できるCSR活動やSDGsに関する教育コンテンツを作ったり、3 カ月に1回発行する社内報への掲載やエコアクションをポスターにして掲示したりすることで啓蒙活動をしました。その際には、なるべく自社だけで取り組んでいるのではなく、社会全体で取り組んでいるのだということが伝わるように工夫 していました。ホテル業ですから、お客さまにご不便を感じさせないような取り組みを推進しながら従業員に理解をしてもらうというところが非常に大変でした。

2022年には脱炭素施策の一環として、「コンフォートホテル和歌山」でCO2ゼロの電力メニューへの切り替えや全館LED照明への更新、電気自動車の充電スタンドの設置と、先駆けたお取り組みをされていらっしゃいますね。

自社で再生可能エネルギーを導入しようとした時に、どうしてもコストが課題になっていました。ホテルの建物自体の資産価値を高めるという点とLEDタイプの照明が主流になっているという点を踏まえて、LED照明への切り替えを行いました。その結果、電気の使用量が減った分で再生可能エネルギー導入のコスト上昇部分を相殺できるのではないかということで、同時期に導入することになりました。

電気自動車の充電ができる施設は、地域の中では先行したお取り組みかと思います。

今後電気自動車が増えていくことを考え、いち早く充電設備の設置をすることで差別化を図る試みです。

その他にも、三重県にある「コンフォートホテル鈴鹿」「コンフォートホテル四日市」では三重県内の水系にある水力発電所で発電された再エネ電力を導入しておりまして、そのことで三重県から「三重県産再エネ電力利用事業者」として認定証を贈呈していただくこともできました。こうしたことでまた新しい協業が生まれたりしています。

【導入の経緯】コスト面、そして地域活性化につながることが魅力的だった

非化石証書導入を検討しはじめたのは、どのようなことがきっかけでしたか。

環境活動を始めてから、自社でコントロール可能なところは一通り出尽くしていましたので、目標達成にむけて取り組みを加速させるために再生可能エネルギーの導入を検討し始めました。導入にあたっては3つのパターンを採用しました。一つ目は既に契約をしている電力会社の再エネプランに切り替えること。二つ目はホテル物件のオーナー様のグループに電力小売事業者がありましたので、そちらと契約をしたこと。三つ目に非化石証書の導入をすることです。非化石証書については、当時はほとんど知識がありませんでした。ですが自然電力様のご担当者から色々とご紹介いただくうちに、コスト面、そして地元で生産した電力を地元で取り引きできる「地産地消」が可能※なところが魅力に思いました。

ホテルロビーに設置されたコミュニケーションボード
(提供:㈱グリーンズ)

今回「コンフォートホテル佐賀」で佐賀県の風力発電所由来の非化石証書を導入いただきましたが、やはり地元でできることを探されていたのでしょうか?

もともと弊社のCSR推進委員会は4つのテーマごとに下部委員会が設置されておりまして、その一つに地域支援や地域活性化を目的とした「コミュニティ支援委員会」があります。その関係もあって、地域貢献できることがないかと考えていました。

導入にあたって、自然電力のサービスはいかがでしたでしょうか。

自然電力様のご担当者に初めてお会いした時に、会社の取り組み、「青い地球を未来につなぐ。」といった企業理念などについてお話していただきました。まずその内容にとても共感しましたし、熱心に環境問題について考えていらっしゃる姿勢に感銘を受けました。

それに、私たち取引先に対しても色々と情報提供や学びの機会を提供してくださいました。そこで、この機会にCSR推進委員会の中で役員に対して、当社が掲げた「CO2の排出量を2013年度比で46%削減する」という目標を達成するためには、再生可能エネルギーの導入が不可欠であるということを説明していただきました。特に上場企業に求められている社会的責任も含めて説明してくださって、今後の活動が進めやすくなる支援をしていただいたなと思っています。

その後、社内ではどのような変化がありましたか。

自然電力様にお話いただいた後、役員から「物件のオーナー様とこういった協業をしてはどうか?」など、具体的なアドバイスがありました。非化石証書だけではなくて、会社全体の脱炭素経営への取り組みの意識を高めてくださったことはとても大きいです。

【今後の展望】環境配慮の面で先進するホテルとしてお客様に選ばれるホテルを目指したい

最後に、今後の展望についてお聞かせください。

まずは弊社で設定しているCO2 削減量の目標達成に向けて、しっかり活動をしていきたいです。あとは、自然電力様のように目標達成のために協力をしてくださる企業様とのコラボレーションを通して、更に活動の範囲や質を高めていけたらなと思っています。これまでもいくつかの企業と協業をしましたが、そうすることで活動の範囲、取り組みの規模が広がったという実感が非常にあります。

加えて、最近増えているインバウンドのお客様は環境意識が非常に高いです。宿泊予約サイトにも「サステナブル」の項目でフィルタ検索ができていますから、やはりそこには消費者の意識が反映されているのだと思います。ですから環境に配慮した取り組みをしているホテルとして、日本を代表できるように、しっかりお客様に選ばれるホテルでありたいなと思います。


環境配慮委員会委員長の瓦真由子様(写真左)と
CSR推進委員会事務局の奥村陽子様(写真右)

企業情報
株式会社グリーンズ
業種: 飲食・宿泊
社員数: 2,055名(2023年6月)
所在地: 三重県
株式会社グリーンズは、45カ国以上7,400軒以上のホテルチェーンのグローバルブランドを擁する「チョイスブランド」と、60年以上のホテル運営の実績をもつ「オリジナルブランド」とのシナジーで、中間料金帯のグローバルブランドのホテルチェーンで唯一全国展開に成功しています。
https://www.kk-greens.jp/

※自然電力では、その発電所と個別で合意ができる場合に限り、発電所を指定して非化石証書を調達することが可能です。

取材日:2023年11月
※掲載情報は取材時点のものです。