ソーラーシェアリング特化型O&Mサービスを千葉県で開始 ~これからを見据えた遠隔監視型O&Mにより、第1号事例が安定稼働中~

2020.06.02[プレスリリース]

juwi自然電力オペレーション株式会社(代表取締役:佐々木周、ヴァルツェヒャ・ヤン・マーテン、以下「jSEO」)は、千葉県にあるソーラーシェアリング太陽光発電所「千葉市大木戸アグリ・エナジー1号機」にて、自社として初めて、ソーラーシェアリング特化型O&M(オペレーション&メンテナンス:維持・管理)サービスの一括提供を開始いたしました。24時間365日遠隔監視によるオペレーションの実行やソーラーシェアリングの営農改善に寄与するセンシングにより、稼働停止・営農遅延を起こすことなく安定した稼働を続けています。今後も本発電所におけるO&Mを通じて、特に高圧・特別高圧のソーラーシェアリング太陽光発電所のO&Mモデルケースとして、安定的に営農・発電を両立するための方法を提案してまいります。

ソーラーシェアリングは農業と太陽光発電事業を一つの土地で同時に行うことにより、農業収入だけでなく売電収入も得る営農モデルです。農業従事者に継続的な売電収入がある持続可能な営農モデルとして、農業人口の減少防止や耕作放棄地の再生といった地域の課題解決に繋がると期待されており、2020年度には、日本全国で累計約560haの農地がソーラーシェアリングを目的として転用許可を受けています。一方で、ソーラーシェアリングでの農地利用が認められるためには営農と発電事業が両立して成り立つことが前提でありながら、現在、全体の11%が営農に関して何らかの支障が起こっていると報告されています。(*1)作物そのものの生育方法だけでなく作物の選定や発電設備の設計などさまざまな原因について、営農・発電事業の両方の観点から改善することが必要です。

「千葉市大木戸アグリ・エナジー1号機」(ニンニク他、複数種の野菜を栽培)

この課題を解決するため、自然エネルギー発電所に特化したO&M事業を日本全国で展開するjSEOは、ソーラーシェアリング事業のリーディングカンパニーである千葉エコ・エネルギー株式会社(代表取締役社長:馬上丈司)とともに、営農・発電事業の両面から一連の過程をサポートする「農業を応援するオーダーメイドメンテナンスサービス」を20188月より提供開始しています。遠隔監視を中心としたO&Mサービスにより、営農者・発電事業者双方の負担を減らし、数十年間持続できる事業運営を支えます。

jSEOは、自然エネルギー発電所の安定した維持・管理を通じて、地域に根差した分散型電源の普及と、日本における地域の課題解決に貢献してまいります。

■太陽光発電所概要

発電所名千葉市大木戸アグリ・エナジー1号機
事業者名千葉エコ・エネルギー株式会社
所在地千葉県千葉市緑区大木戸町1185-1
設備容量AC容量    625.00 kW
DC容量 777.15 kWp
運転開始日2018年327

■ソーラーシェアリング特化型O&Mサービス概要と実施状況

  • 監視(オペレーション)業務
    通常のメガソーラー(高圧・特高)太陽光発電所の監視と同様(*2)、24時間365日遠隔監視を実施し、発電量が急に低下した場合は、jSEOの協力会社ネットワークを通じて現場への駆け付けを行います。2020年4月7日より、日本政府から全国に緊急事態宣言が発令され、その立地地域である千葉県でも移動自粛が行われましたが、(1)遠隔監視および(2)地元に立脚したオペレーション体制により、特段の影響を受けませんでした。
    また、本サービスの特徴として、上記に加え、ソーラーシェアリング太陽光発電設備周辺に各種センサーも設置しており、「土壌水分量 [%]」「気温[℃]」「光量子量[kWh/㎡]」「日照時間 [h]」といった、農業の運営改善に活かせるフィールド情報をセンサーから取得しています。発電事業者・営農者共に毎月のレポーティングから発電状況と現地の様子を把握することができます。
    また、営農者からの情報をもとに、月次で営農状況をレポーティングしています。発電事業者は発電の状況だけでなく、営農が着実に行われているかを月次報告書を通じて知ることができます。月次レポートは、毎年の農業委員会への営農状況報告や、3年ごとの農地の一時転用許可を申請する際の資料として役立ちます。(*3)
  • メンテナンス業務
    民間ガイドラインに定められた、高圧・特別高圧発電設備としてのメンテナンス業務(*3)を実施するほか、ソーラーシェアリング太陽光発電所のメンテナンスにあたっては(1)高い位置の太陽光パネルへのメンテナンス作業、(2)パネル下における農地・植付作物の土壌および生育状況に配慮したメンテナンス計画の設計を行うことが求められます。(1)では、2020年1月時点での定期点検にドローンを活用し(*4)、上空からの不具合検知を行いました。作業者の目視によるひび割れ確認は時期が制限されるため、赤外線カメラを搭載したドローンを合わせて活用し、栽培中でも、クラスタ断線や異常な発熱(ホ ットスポット)といった目視では見つけにくい異常も検知します。

センサーデータおよび営農状況のレポート(抜粋)

ドローンによる定期点検の様子(上空飛翔物がドローン)

 

*1 農林水産省「営農型太陽光発電設備設置状況等について(平成30年度末)」
https://www.maff.go.jp/j/nousin/noukei/totiriyo/einogata.html

*2   「太陽光発電システム保守点検ガイドライン」(一般社団法人日本電機工業会(JEMA)および一般社団法人太陽光発電協会(JPEA)発行)のこと。jSEO O&M標準パッケージには、「予防保守」「遠隔監視・障害対応(365日の遠隔監視・駆け付け)」「修繕」「報告・調整業務」が含まれます。また、オプションとして、除草・除雪・モジュール清掃といったサービスを行っています。

*3 「農業を応援するオーダーメイドメンテナンスサービス」には、年次報告書や一時農地転用許可申請にかかる書類の作成支援が含まれています。

*4 赤外線カメラを利用した不具合検知サービスはオプションです。