Shizen Connect、関西電力との容量市場向け低圧VPP実証の実証報告書を公開
- 商用化に向け逆潮流の有無による家庭用蓄電池の供出可能量を評価 -

VPP(*1)プラットフォーム開発会社の株式会社Shizen Connect(以下、Shizen Connect)は、2024年5月30日に発表した、関西電力株式会社(以下、関西電力)との家庭用蓄電池の制御による容量市場への参入に向けた共同実証(*2。以下、本実証)を完了いたしました。本実証で得られた成果に基づき、家庭用蓄電池の容量市場参入に関する評価結果をまとめた実証報告書を一般に公開いたします。
容量市場は、日本全体の電力供給の安定化を目的として2020年に開設された将来の電力の供給力(kW価値)を取引する市場です。小規模な電源や安定的に供給力を提供できない電源等であっても、アグリゲートすることにより容量市場に参加することが可能です。近年ではこのような、容量市場向けのアグリゲーションへの注目が高まっています。
Shizen Connectは、2019年度から5年間にわたり、経済産業省の「VPP構築実証事業」及び「DERアグリ実証事業」に参加し、容量市場や需給調整市場向けDRならびに経済DRなどに関する実証を行ってきました(*3、*4、*5、*6、*7)。2023年5月には、小売電気事業者向けに家庭用蓄電池やヒートポンプ給湯器、EVなどの低圧リソースを対象に経済DRや需給ひっ迫DRなどの制御を提供する「機器制御型DR支援サービス」を開始しました。これまで大手小売電気事業者を中心に採用され、その市場シェアの合計は35%に達しています(*8、*9、*10、*11、*12)。今後は容量市場向け制御を商用化することに取り組んでいます。
本実証では、Shizen Connectが開発・運用するVPPプラットフォーム「Shizen Connect」(以下、「Shizen Connect」)と関西電力が開発したHEMSを連動させ、容量市場の発動指令に相当する指令をShizen Connectが模擬的に作成して、HEMS経由で実証参加者が保有する家庭用蓄電池の遠隔制御を実施(図1)。蓄電池の実機制御による逆潮流なしの実績データ、及び、実績データに基づきシミュレーションした逆潮流ありのデータを用いて、供出可能量を評価しました(表1)。
本実証の結果、容量市場への対応を想定した家庭用蓄電池の制御が可能であることが確認できました。追従率(*13)は約65%でした。また、系統への逆潮流なしで個々の家庭の需要量を削減する場合に比べて、系統への逆潮流を実施する場合のほうが、家庭用蓄電池1台あたりの供出可能量が約3倍になると試算され、低圧リソースを用いた容量市場参加における逆潮流の有効性が改めて確認されました。本実証で得た知見を活かし、低圧リソースを用いた容量市場参加に向けた準備を進めてまいります。
Shizen Connectでは、日本における低圧VPPはまだ普及途上であり、業界内のプレイヤーが互いに知見を共有しながら発展させていくことが重要だと考えています。業界発展の一助とすべく、共同実証者の関西電力と協議の上、本実証の実証報告書を一般公開いたします。実証報告書は下記よりダウンロードいただけます。
実証報告書ダウンロード:
【実証報告書PDF】家庭用蓄電池の容量市場参入に向けた実証実験
Shizen Connectでは今後も引き続き、各分野のリーディングカンパニーと共に、脱炭素化社会の実現に向けた貢献を続けてまいります。
図1:本実証のスキーム
表1 本実証の概要
目的 | HEMS経由での家庭用蓄電池の制御による容量市場への参入可能性の検証 |
実証期間 | 2025年1月 ~ 2025年2月 |
評価方式 | 技術性評価
|
関西電力の役割 |
|
Shizen Connectの役割 |
|
*1 Virtual Power Plant(仮想発電所):分散型電源(発電設備、蓄電池、EVなど)や需要設備を遠隔で統合・制御することで、あたかもひとつの発電所のように機能させること。
*2 Shizen Connect、関西電力と容量市場向け低圧VPP実証を実施(2024年5月30日付プレスリリース)https://www.shizenenergy.net/2024/05/30/sc_capacitymarket_lv_vpp/
*3 バーチャルパワープラント(VPP)構築実証事業に参加(2019年6月4日付プレスリリース)https://www.shizenenergy.net/2019/06/04/participate-in-virtual-power-plant-vpp-construction-demonstration-project/
*4 2020年度バーチャルパワープラント構築実証事業に参加(2020年6月1日付プレスリリース)https://www.shizenenergy.net/2020/06/01/vpp-second-experiment/
*5 「再生可能エネルギーアグリゲーション実証事業」および 「分散型エネルギーリソースの更なる活用に向けた実証事業」に採択(2021年6月25日付プレスリリース)https://www.shizenenergy.net/2021/06/25/feasibility_study_der/
*6 自然電力、経産省の再エネアグリおよびDERアグリ実証事業採択を受け、 蓄電池メーカー複数社と共同で小売電気事業者向け調整力等の創出へ(2022年6月2日付プレスリリース)https://www.shizenenergy.net/2022/06/01/aggregation_demonstration_project/
*7 自然電力、経産省「DERアグリ実証事業」に採択(2023年6月26日付プレスリリース)https://www.shizenenergy.net/2023/06/26/aggregation_demonstration_project_r5/
*8 新電力ネット「全国の販売量(低圧・電灯)ランキング(2024年10月実績)」より当社試算
*9 東京ガスのソリューション「IGNITURE蓄電池」の制御プラットフォームとして「Shizen Connect」を採用(2024年4月23日付プレスリリース)https://www.shizenenergy.net/2024/04/23/shizen_connect_igniture_saas/
*10 東京電力エナジーパートナーが低圧VPP運用にShizen Connectを採用(2024年6月21日付プレスリリース)https://www.shizenenergy.net/2024/06/21/sc_tepco_adopt_dr_support/
*11 東北電力が低圧VPP運用にShizen Connectを採用(2024年9月26日付プレスリリース)https://www.shizenenergy.net/2024/09/26/sc_tohoku_el_drservice/
*12 北陸電力が低圧VPP運用にShizen Connectを採用 https://www.shizenenergy.net/2024/11/28/sc_drservice_rikuden_2024/
*13 充放電の指令値に対する実績値の割合
*14 AC(アグリゲーションコーディネーター):リソースアグリゲーターが制御した電力量を束ね、一般送配電事業者や小売電気事業者と直接電力取引を行う事業者。
*15 RA(リソースアグリゲーター):需要家とVPPサービス契約を直接締結してリソース制御を行う事業者。
【エネルギー管理システム「Shizen Connect」について:https://www.se-digital.net/】
「Shizen Connect」は蓄電池・EV・エコキュートなどのエネルギー機器をIoT/AI技術で制御し、その制御価値の電力市場取引などを行うエネルギー管理システムです。ピークカットによる電気代削減やマイクログリッドの構築、そして各種電力市場向け制御によるVPP(仮想発電所)の構築などを実現します。家庭用蓄電池のVPPプラットフォームとして東京ガスや東京電力エナジーパートナー、東北電力、北陸電力などに採用され、系統用蓄電池の制御では大阪ガスや東急不動産、西鉄グループなどに採用されています。「Shizen Connect」は、DR・VPPプラットフォームの法人契約数ベースの市場シェアNo.1を獲得しています(富士経済調べ、2023年度)。
【株式会社Shizen Connect 会社概要】https://se-digital.net
会社名 :株式会社Shizen Connect
本社所在地:東京都中央区日本橋本町2丁目4番7号
設立 :2023年10月2日
株主構成 :自然電力株式会社100%
大阪ガス㈱、㈱JERA、四国電力㈱、新日本空調㈱、㈱ソラコム、ダイキン工業㈱、東急不動産㈱、東京ガス㈱、西日本鉄道㈱、北陸電力㈱、北海道電力㈱及び事業会社1社(社名非公表)の計12社と新株予約権付転換社債による資本業務提携契約を締結
代表者 :代表取締役CEO 松村宗和
事業内容 :VPPプラットフォーム事業、エネルギー管理サービス事業、IoT機器販売事業など